まだまだ情

自宅に帰るも郵送物にしか用もなく、年寄り連中に優しい声をかけながら豊作の柿をあげて優越感に浸ってみる。いつもは魚を貰ってばかりの相手に言葉ばかりのお礼、何て情けない礼の仕方だと常々思っていた。言葉なんて何の励みにもならないこと百も承知。昔は小姑みたいな婆数名をドライブに紅葉狩りに連れて行ってやったりしてた。親戚でも何でもない人たちに優しくしてあげても楽しいものだ。行動は嘘をつかないから。態度で示せば真実が伝わる。

優しい言葉より柿1つの方が幸福感を味わえるねとジョークを言い合える老婆たちが友達なんて、本当に私は変な歳の取り方をしたものだ。しかしそれも遠い距離のとこで生活していることに気付く。染まってはならない。

全日エリア予選にOBが見に来てくれた。ちょくちょく顔を出すお父さんとか、俺は感謝の仕方がわからない。今の時代、情に厚い人間が沢山はいないと思う。卒業したら見事に分かるよと人生の先輩が言っていた。そんなこと聞かなくても期待などはしないよ。ポジティブに考えて得したことなどなく、ネガティブに考えて得した気分になったことは何回かある。
餌に釣られないように、まだまだ俺は大丈夫だと信じたい。