雨で練習を中止にするとミーティングをと要望が。急遽、片付けと準備に翻弄され、過去のDVDを検索しながら選手たちを待つ。一緒に過ごす時間はグランドだけではない。
親友がチーム代表を勇退し他のチームのコーチをやるという。正式に表明する前に電話を受けたのは親友であるがゆえのこと、俺より若く似たような考え方を持つ同志の、代表としての苦悩はよく分かる。科学の世界ではクローンが実現しているかもしれないが、俺たちのクローンは作れない。単なる生物学上の話ではなく、代表として長い時間をかけて積み重ねてきた経験と知識がある。自己犠牲心の薄い奴などには猿真似など出来ない。
純粋なクラブチームでの掌握は、なんちゃってクラブチームやスポーツ少年団とは比べ物にならないほど難。
マラドーナがいみじくも語っている。
「バルセロナはカタルーニャ人のグアルディオラがカタルーニャ人中心のチームをまとめているだけ。全世界から我の強い選手ばかりが集まるレアルマドリードの監督を務めることがどれだけ難しいことか。」
ーその小学校の子を中心に地元の大人がチームをまとめるー
俺もスポ少の代表を17年間やってはいるが。
